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摘要:本文以汉语母语话者日语学习者的日语偏误、日汉指示词的语用义的异同以及日语表达方式中的距离感为研究对象,论证了日语为双圆模式,汉语为套圆模式的理论模式。并指出视点的焦点在于说话人是将事物看作「ウチUCHI」的关系,还是「ソトSOTO」的关系。本论文主要阐明了以下4个问题。①日语指示词「コ」和「ソ」的选择标准除了物理性距离外,文化上的心理距离也是一个非常重要的选择标准。而且,文化上的心理距离对「コ」和「ソ」的选择具有很强的支配能力。而汉语指示词“这”和“那”的选择标准并非依据文化上的心理距离,而是依据物理性距离或事物与说话人自身的关联方式。②日语敬语和非敬语表达方式的选择标准并非依据是否需要对听话人或话题参与人表示敬意,而是依据说话人与听话人或话题参与人的距离。决定距离的是说话人,即说话人依据自己与他人的距离来选择是否需要使用敬语或使用何种敬语来表达。③日语和汉语同属高语境文化的语言,但各自文化模式显然不同。日语和汉语都注意与他人的关系来选择表达方式,但是,日语属于双圆模式,而汉语属于套圆模式。无论是双圆模式还是套圆模式,处于中心位置的都是说话人。双圆模式重视自己与他人的关系是否为「ウチUCHI」或「ソトSOTO」的关系,套圆模式不注重这种关系。④双圆模式和套圆模式可以为解决语法和语义上无法解释的日语偏误问题提供一个重要的线索。
关键词:双圆模式;套圆模式;指示词;文化上的心理距离;「ウチUCHI」和「ソトSOTO」;平行リングモデル;多重リングモデル;指示詞;文化的な心理的距離;ウチの関係とソトの関係
[1] 作者简介:于康(1957—),男,日本/关西学院大学国际学部教授,关西学院大学研究生院语言交际文化研究科教授,研究方向:日语语法,汉日语法对比,二语习得与日语偏误研究。
[2] 岩田(2003:263)は、高コンテクスト文化と低コンテクスト文化について、次のように解釈している。「高コンテクスト文化では、話し手と聞き手との間に共有されている情報が多いため、はっきりことばに出して話す必要がなく、時にはことばに出して話さなくてもコミュニケーションが成り立つこともある。いわゆる「察し」が成り立つのである」。それに対し、「低コンテクスト文化ではお互いに共有する情報·経験が少ないため、お互いにはっきりとことばに出して(もしくは文書に書いて)コミュニケーションしないといけない。お互いに相手の「察し」に頼ることはできないのである。コンテクストに頼らない言語コードを駆使する必要がある」。
[3] 精密コードと制限コードについては、諸説ある。その代表的な説明は、以下の通りである。岩田(2003:203)は、「イギリスの社会学者Bernstein(1971) は、イギリスの中流階級と労働者階級の子供の言語行動を調べた結果、中流階級の子供たちは「精密コード」(elaborated code)を使用し、労働者階級の子供たちは「制限コード」(restricted code)を使用するという結論を出した。精密コードの特徴は、文構造の選択肢が多く、スピーチの構成が複雑で工夫されており、コミユニケーションの主な手段は言語であり、コミュニケーションの様式に個性があることである。制限コードの特徴は、文構造の選択肢が少なく、スピーチの構成が単純で、コミユニケーションの主な手段は非言語であり、コミュニケーションの様式は紋切り型である。」と解釈している。高見等(2004:175)では、「制限コード(restricted code)」を「家族や友人間のインフォーマルな場で使われることば。制限コードはその場の状況に依存し、はっきり言わなくても皆が暗黙に了解している前提が多くある。文は短く単純で、語彙の選択範囲も限られている。」と定義し、「精密コード(elaborated code)」を「意見や経験を論理的に正確に伝えるために、フォーマルな場での討論や学問的な議論といった場で使われることば。精密コードでは、ある意味を伝えるのに、非言語行動や、皆が暗黙のうちに了解しているというような言語外の特徴に頼ることがない。文は複雑で語彙の選択範囲も広い。」と定義している。それに対し、近藤·小森編(2012:126)では、精密コード/精練コード(elaborated code)を「言語外の要素への依存度が小さく、言語形式は複雑で、多様な表現が可能なコード(code)。教育などの場で用いられる。」と定義し、限定コード(restricted code)を「言語外要素への依存度が大きく、言語形式は単純で決まりきった表現が多いコードで、家庭など日常生活の場で用いられる。」と定義している。以上から、精密コードと制限コードの定義や使用は、Bernsteinから変化してはいるが、高コンテクスト文化と低コンテクスト文化とは出発点やフォーカスするところが異なることが分かる。
[4] 誤用例は、いずれも于康(2019)『YUKタグ付き中国語母語話者日本語学習者作文コーパス』Ver.10からの引用である。データの内訳は次の通りである。56校の大学(中国の大学は50校、日本の大学は6校)から集めてきた学部生、大学院生、日本語教員の作文(感想文、研究計画書、レポート、宿題、メール、翻訳、外交通訳の録音資料、卒業論文、修士学位論文、博士学位論文)と日本の大学や会社に在職中の教員と会社員の作文(数は少量)。日本語学習歴(使用歴を含む)が3ヶ月から34年まで。正用タグ付きと文法タグ付き。ファイル数が4,273、文字数が6,014,321、タグ数が延べ数213,742。
[5] 原文を理解するために、直訳を用いている。従って、日本語としては不自然な表現になる場合もある。
[6] イントネーションによって、発話の真意が読み取れる場合が多いであろうが、多義的であることには変わりないであろう。
[7] 日本語の否定疑問文も中国語の肯定疑問文も反語の意味がまったく読み取れないわけではないが、デフォルト的な意味つまり最初に活性化された意味は反語ではない。
[8] 引用文の番号は、原文のままである。
[9] ここのABCDは次の図の中にあるABCDのことである。牧野(1996)では、神尾(1979)の図が引用されているが、神尾(1990:22)においては、次のようになっている。サブタイトルの表記がすこし異なっているが、図の内容は同じである。

[10] 日本語の用例はいずれも『YUKANG日本語コーパス』からの引用である。『青空文庫』(2019.4.2までの全データ。約14,000以上の作品)、『国会会議録』(2017.6.12までの全データ)、『毎日新聞』(1995年版と2009年版)、『新潮文庫の100冊』(1995)、『新潮文庫 明治の文豪』(1997)、『新潮文庫 大正の文豪』(1997)、新潮文庫の絶版100冊(2000)、『現代日本語小説』(40冊)、『ネット小説ランキング』(30冊)など。
[11] “我们”“你们”のように、複数を表す人称代名詞も同様である。
[12] 中国語の用例はいずれも『北京大学中国語言学研究中心CCL語料庫』(詹衛東、郭鋭、諶貽栄2003)からの引用である(7億字、紀元前11世纪から現代まで。http://ccl.pku.edu.cn:8080/ccl_corpus)。
[13] 対訳の用例は『BJSTC中日対訳語料庫(第一版)」(北京日本学研究中心2003)からの引用である。
[14] 日本語の「コ」も、30m先の搭乗ゲートを指さして、「これですよね」と言った人も増えているように、物理的な距離だけでは説明できそうにない用法もある。これについては、本稿では掘り下げず、他稿に譲ることとする。
[15] 本稿でいう「心理的距離」は、金水·田窪(1992)と重なる部分があるが、必ずしも一致するものではなく、「文化的な心理的距離」のことを意味することを強調したい。
[16] ヨソとの関係はここではしばらく不問とする。
[17] 日本文化審議会が答申した「敬語の指針」によって、敬語は「尊敬語」、「謙譲語」、「丁重語」、「丁寧語」、「美化語」の5種類に分類される。「美化語」以外は、いずれもウチとソトの関係に関わる。